アーチサポートやインソール、使い続けると筋力は低下する?|義肢装具士が正直に答える
2026年7月11日 ・ FARS編集部
アーチサポートインソール筋力
「アーチサポートの靴下やインソールに頼っていると、自分の足の筋力が落ちてしまうのでは?」——アーチサポートを検討する方から、とてもよく受ける質問です。この記事では、義肢装具士の視点から正直にお答えします。

結論:「悩みのない足」が漫然と使い続ければ、その可能性はあります
まず、正直なところから。足に疲れも痛みもなく、アーチの崩れなどの悩みがない方が、目的なくサポートを使い続けた場合、足の筋肉がしていた仕事の一部をサポートが肩代わりするぶん、筋力低下を引き起こす可能性はあります。
健康な足にとっては、支えなしで歩くこと自体が毎日の筋トレになっているからです。
——しかし。これはあくまで「悩みのない足」の話です。疲れや痛みを抱えた足では、まったく逆のことが起こります。
疲れや痛みのある足では、逆のことが起こる
足に疲れや痛みがあると、人は無意識のうちに歩かなくなります。すると、こんな悪循環が始まります。
- 疲れる・痛い
- 歩く量が減る
- 足の筋力が落ちる
- さらに疲れやすくなる → 1に戻る
ここにアーチサポートが入るとどうなるか。疲れや痛みが軽くなれば、歩ける量が保たれ、むしろ増えていきます。歩数が増えれば、足が使う筋力の総量も増える。
つまり筋力を決めるのは、サポートの有無ではなく「どれだけ歩くか(活動量)」です。サポートを使っても歩数が変わらないなら筋力は増えません。でも、サポートのおかげで歩ける量が増えるなら——筋力はむしろ育ちます。
「自転車に乗ると、脚の筋力は落ちますか?」
義肢装具士は、装具を使う方から「使い続けると筋力が落ちませんか?」という質問をよく受けます。そのとき、いつもこうお答えしています。
それは「自転車に乗ると、脚の筋力は落ちますか?」という質問に似ています。
道具で行動範囲が広がれば、使う筋力はむしろ増えるのです。
自転車は脚の代わりに進んでくれる道具ですが、自転車に乗る人の脚が弱くなるわけではありません。行動範囲が広がり、出かける機会が増えれば、体は前よりよく動くようになります。装具も、アーチサポートも、考え方は同じです。
もうひとつの効果:筋肉を「正しく」使えるようになる
アーチが崩れた状態で歩くと、体はその崩れを補うために、本来使わなくていい筋肉まで動員します。すねやふくらはぎが妙に張る、足の外側ばかり疲れる——そんな「無駄な代償」です。
アーチが支えられると、この代償が減り、必要な筋肉を正しい使い方で働かせやすくなります。無駄な負担を減らしながら、筋力を育てられるということです。
1日に何千回もの「普段の一歩」で間違った筋肉の使い方が習慣になっていく話は、「リハビリも整体も続けてるのに、なぜ足の疲れは"戻ってくる"のか」で詳しく解説しています。
あなたはどっち?——使う価値がある人・必須ではない人
- 疲れ・痛み・アーチの崩れの実感がない方——サポートは必須ではありません。よく歩き、足指を使う生活そのものが、最高の足のトレーニングです
- 夕方の足の疲れ、立ち仕事のだるさ、アーチの下がりが気になる方——活動量を落とさないために、サポートを使う価値があります
- 足の変形が強い方、糖尿病による血行障害・神経障害のある方、関節リウマチの方——市販のサポートでは対応できません。整形外科等で義肢装具士によるオーダーメイドインソールを。詳しくは「病院でインソールを作るときの靴の選び方」へ
サポート+α:筋力を育てる3つの習慣
「支えながら、鍛える」を実現するために、サポートと並行して足を動かす習慣もおすすめです。

- タオルギャザー——床のタオルを足指でたぐり寄せる。足裏の筋肉のトレーニング
- 足指グーパー——足指を大きく閉じて、開く。足指の動きを取り戻す
- ふくらはぎ伸ばし——30秒×3セット。硬くなったふくらはぎは足裏の負担を増やします
まとめ
悩みのない足が目的なく使い続ければ、筋力低下の可能性はあります。しかし、疲れや痛みのある足では、サポートが活動量を守り、筋力はむしろ維持・向上しやすくなります。決め手はサポートの有無ではなく「どれだけ歩けるか」。
義肢装具士が装具の設計思想をもとに開発したFARS(ファーズ)のアーチサポート靴下は、アーチパッドが3つのアーチを支え、素足・上履き・パンプスの場面でも履くだけで使えます。"歩ける毎日"を守る一枚として。

